オルガンイズムにあがく鳥
「最も的確な判断は、常にひとつだよ。そしてそれは、一切れのパンを幼い子供に与えることじゃない」

「でもあの時は!」

怒鳴り声は、

「ならば答えてみろ紫苑!!」

遮られた。

「君はその一切れのパンを増やせたのか!? そのパンをもらい、なにをした!? なにができた!? 答えるがいいさっ! なにをした!? 君はそのパンを、どうした!!」

「っ……!!」

答えられるはずが、なかった。それなら、

貧しかった。必死だった。あの時は。

だから……

「食べ、たよ……だって、ほかのみんなが食えと言うから……」

そしてそのあと、必死に助けを求めて走り回った。

しかし、幼かった俺に、どれだけのことができただろうか。

ようやく見つけた助けは、すでに遅く……。

あの時、もっと力があり、体力も知恵もある者がパンを食べていたら……。

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