オルガンイズムにあがく鳥
「紫苑……ねえ紫苑、君は僕のことを誤解しているんだよ。僕は、つまりそのために生まれたんだ」

「……?」

なにを、言ってる?

意味がわからない。

「その、ため……?」

「そうさ。たった一切れのパンで飢える十人を救うために、僕はいる」

――まさ、か……

「お前なら――一切れのパンで、あの時の十人を救えたというのか……?」

あの日――人のあたたかさを知ると同時に、いかに自分が無力かを思い知った。

「あは、そう言ったよ、紫苑。なんのために、僕が世界最高の『法律』と呼ばれているんだと思う? すべて、そのためだよ」

アダムが、綺麗に笑う。

汚いは綺麗……綺麗は汚い――いや、違う……

綺麗は、綺麗だ。

神々しいほどに……。
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