オルガンイズムにあがく鳥
「そう……だな。悪かった……どうやら俺は――誤解、していたらしい」

もし世界最高の『法律』が生まれたのなら、あの時の九人は生き残れる。

それはもしかしたら、すごく、すばらしい世界ではないだろうか。

そんな気がした。

「気にする必要はないよ。誤解はいつでも生まれる。ゆえにアラーもヤハウェイも釈迦も手を取り合おうとしないんだ」

「お前なら、それもできるのか?」

長きに渡る宗教の隔壁すら、突破できるというのか?

「望みとあらば、この僕こそが」

「……頼もしいな」

その言葉は本心から出たものであり、紫苑は、自然と笑みがこぼれた。

だから、その一瞬を聞き逃してしまい……

その意味を深く考えることもなく……

「だからこそ――あぁ、早く目を手に入れないとね……」

アダムの顔がいかにおぞましく笑っているか、気付かなかった。

< 66 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop