オルガンイズムにあがく鳥




「――それで、どういうことだ?」

公園は人でにぎわっていた。

噴水を覗き込んだり、回りを駆けたりして遊ぶ子供たち。

犬の散歩をする老人。

お弁当を広げてピクニックを楽しむ家族。

実に……平和な風景だった。

呆れるくらいに、腹立たしいぐらいに……平和。

「アダムには意図的なバグが含まれているのよ」

エヴァは、屋台で買ったホットドッグをあえて口の中に含みながら喋った。

聞き取りにくいのは、所要。

この距離なら問題ないが、よほど高性能な盗聴器でもつけない限りは、まず聞き取れない声量。

「バグ?」

「ええ」

同じように、紫苑も買ってきたホットドッグを口に含みながら。

お互いに小声は必定。目線すら、前に固定している。

「ねぇ、ちょっとこのホットドッグ、からし効きすぎじゃない?」

不意に、関係のない話題。目線を感じたのだろう。

とっさに合わせる。

「そうか? これぐらい普通だろ? なんなら俺のと交換するか?」

「イヤよ。なんで半分以上も食べられたホットドッグと交換しなくちゃいけないの?」

「気にすんなよ」

「気にするのよ! それに、間接キスでしょ、デリカシーないわね」

「あん? 人に鉄の棒を突きつけるヤツに、デリカシーを問われたくねぇよ」

「それは――」

さらにエヴァが言い返そうとして――止まった。どうやら、視線がなくなったらしい。
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