オルガンイズムにあがく鳥
少なくとも、頂点が揺るがないものに決まるというのなら、紛争はなくなり、誰もが日本を中心としてまとまっていくだろう。

だから問う。

それは、世界平和と呼ばないのか?

「キリストの慈悲も、ムハンマドの高潔さも、仏陀の聡明さも、すべて天照のものにされて黙っている連中が、果たしているかしら」

……ごもっとも。

「神様は恐ろしいな」

「信じられないというなら証拠だってあるわよ」

別に。そんなわかりやすい話だ。

「いや、信じよう」

「は?」

だいたい、ひとつきも黙ってアダムの話し相手になっていたと思っているのか?

これでも、それなりの死線はくぐってきた男だぞ。

過小評価は困るな。

「まあ、都合のいい話だとは思ったんだ。同じクリスチャン同士でも、カトリックとプロスタントの違いだけで千年も争ってるんだぞ。

それなのに、イスラム、仏教、儒教、密教、フリーメイソン……すべてが手を取り合うなんて、できるはずがないんだよな」

人はそれぞれに思い、考え、そして戦う。

だから発展するし、成長する。

平和のために必要なことは、絶対的な法律ではない。

話し合うことだ。
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