オルガンイズムにあがく鳥
二人は立ち上がっていた。もうホットドッグはない。

二人はやや、背を向けあっていた。互いに三歩ほど、別々に歩を進める。

紫苑が振り返り、

「女だからといって手加減すると思うなよ?」

エヴァも振り返った。

「それ、負ける側の言葉よ」

その手が、いつものように鉄の棒を握る。また、突然現れたように見えた。

桜田も信じられないほど薄い通信装置を持っていた。エヴァの鉄棒も、オルガンイズムの技術だろうか。

もっとも、鉄の棒ぐらいのハンデ、苦にもならない。

紫苑は一気に距離を詰めた。

勝負は、一瞬。

「!」

振り下ろされた鉄の棒が――

「!?」

紫苑にかわされる。

公園のレンガが砕けたときには、

「らあっ!!」

顎に一発。

それだけでエヴァが吹っ飛ぶ。

長い獲物は懐に入ってしまえば小回りが利かない。リーチの長さに油断しているから、こうなる。


「く……っ」

しかし、エヴァの爛とした眼差しは揺るがない。すぐさま起き上がると、鉄棒を横に構えた。

「この程度で、私が……っ」

いい根性をしている。女にしておくにはもったいない闘魂だな。

しかしだ――
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