オルガンイズムにあがく鳥
なかば呆れた、その時――

「そこまでです」

全然違う声が横から聞こえた。

瞬間、

「なっ!?」

茂みや周囲から一斉に現れた警官が、

「はっ、放して! イヤっ、イヤだ! 放してよ、放せっ……くそおおっ!!」

あっという間に、エヴァを取り押さえる。

声がした方向を見やると、あの時の役員……桜田が立っていた。

彼は首を振り、ひげを揺らす。

「エヴァ……アナタはもっと聡明な方だと思っていました。桂木さまはアダムの目に選ばれた存在ですぞ……? これ以上傷つけられるのは、こちらとしても避けたいところです」

桜田の口調は、淡々としている。

「っ、放せっ、放しなさい! これは私と、私と紫苑の問題なのよ……!!」

鉄棒を取り上げられ、三人もの警官から地べたに押さえつけられるエヴァ。

ひとりが右腕、ひとりが左腕、もうひとりが背中に膝を押し当てる、容赦ないもの。

可憐な頬には、泥がついていた。

キリストの磔刑……紫苑は、その姿を一瞬連想した。
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