オルガンイズムにあがく鳥
桜田は、しかしやはり、淡々と。そしてはっきりと。

「いいえ、私たち日本……ひいては世界全体の問題です。アナタのわがままで、それを邪魔させるわけには参りません」

そして、紫苑へ向いた。深々と頭が下がる。

「失礼しました、桂木さま。アダムがお待ちです。どうぞこちらへ」

「……目の引き渡しは、まだ先ではないんですか?」

「ですが、アナタにはこれからアダムとのシンクロ審査がございますので。義眼の調整も行わなければなりませんし……」

つまり――

「アダムと一緒に暮らせ、と?」

あの『教会』の中で……自らの眼球を失うまで……。

「しばしの辛抱です。どうかお付き合いください」

「……わかったよ」

紫苑は、桜田のあとをついて行こうとしてー気になった。

「アイツは――エヴァはどうなるんですか?」

「彼女ですか? 暴行罪で逮捕……が一番でしょう。アダム作成の邪魔をしたということで、第一級犯罪にカテゴライズし処刑――という手もありますが」

マジかよ……。
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