オルガンイズムにあがく鳥
「そっ、それは困ります! アナタは今やアダムの体の一部なのです。それを逮捕などと……」

慌てた表情を浮かべる桜田。

決め頃だった。

「では、彼女も無罪にするべきです。違いますか? 俺が無罪なら、彼女も。言っている意味、わかりますよね?」

司法取引……。

桜田がぐ、となにかを飲み込んだ。

「了解、しました。桂木さまがそう言うのでしたら……」

「ありがとうございます」

あっさりと成立。

これでまあ、思い残すこともないだろう……。

紫苑は後ろをちらりと眺め、桜田と共にリヤカーへ乗った。

自らの目をアダムに差し出すために。



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