オルガンイズムにあがく鳥
そうだな……だから、黄色いサルに頭を下げるなんてこと、死んでもしたくないのだろうよ。

「大丈夫だよ。そうならないために僕がいるんだ。世界を平和にしてみせるさ。この日本を中心にね」

たしかに、お前ならそれができるかもしれない。

だがな、それは――

「ファシズム、と呼ぶんじゃないのか?」

ひとつの国が支配を握り、他国を圧倒する。

かつてのヨーロッパ小国が行った政策。

それが生んだものは……

「あはっ、虐殺と争乱を生まないのなら、ファシズムはひとつの理想の形だよ」

お前ならそれができると……

「そして、誰もがお前にひれ伏し、崇め、お前を中心に世界は回る……というわけだな」

しかしそれは、『法律』ではなく、神様という存在だ。

「あっは、正確には僕は『法律』だからね。崇めるのではなく、僕の存在に沿って生きるというわけさ。そのために僕が作られたんだよ。君は、そんな僕の目に選ばれたんだ。光栄に思いなよ」

そうか……なるほど……。

よく、わかったよ。
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