オルガンイズムにあがく鳥




「桂木紫苑……二十三歳……。栄養失調による体力の衰弱は見られますが、はい。病気や怪我などの異状はありません。はい、もうしばらくしたら目を覚ますかと、はい……」

聞き知れぬ声がして、男……桂木紫苑は目を開けた。

真っ白い天井が目の前に広がっており、直視するには眩しすぎるライトが円を描くように五つ並んで、彼を照らしていた。

ずっと目を瞑っていた彼にとって、それはあまりにも眩しい。

思わず目をそらす。

そこに、黒スーツに身を包んだ、見知らぬ男が立っていた。

ふと、その顔がこちらへ。

「おや、目が覚めたようで」

先ほどと同じ声。

ひげを生やしたメガネオヤジだった。

中肉中背。見たところ、四十代そこそこといったぐらいだろうか。

右手にはなにやら、クリップで留められた分厚い書類……

左手には……なんだ?

薄い、板。

耳に当てているあたり、音響装置だろうか。

少なくとも、外の世界にはなかった代物だ
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