オルガンイズムにあがく鳥
「きっ、きっっ、きっっっ、君は間違っているっ!! 間違いだ紫苑っ、それは間違いだ!!」

「勝手に決めるな。お前は神様じゃねえ。人間に作られただけのシステムだよ」

「っ、違う!」

「違わんね」

「違う違う違う、君は間違ってる……? そうじゃないよ紫苑! 忘れたのかい!? 愚作を労するより、できる善がある! 善なる法が僕ならば、僕が正解で、君はっ、 ああ、ああ君は、君は間違ってるんだ……っ!!」

「お前が決めるな、アダム」

それが捨て台詞。

悪いなアダム。

お前は、世界最高の『法律』としては未熟だ。

お前が完成すればきっと、世界中に富が溢れ、争うをなくすこともできるだろう。

だが……それはあくまで、巨大なオルガンイズムでしかない。

世界中に蔓延する、虚無でしかない。

争いのない世界が素晴らしいって?

バカか?

……いや、一概に、バカとは言い切れないだろう。

しかしな、人は絶えず争うながら進むんだ。

時に敗れ、時に勝利し、時に絶望、時には希望を見い出し……

涙して、笑って、怒って、悲しんで、楽しんで……

そうやって、そうやって進むんだ。

そこに、お前の作る虚無の世界は、ない。
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