オルガンイズムにあがく鳥
「よくこんなもの手に入れたな……エヴァ」

フルフェイスだったが、直感で、誰だかはよくわかった。

「ふ、これもまた人脈というものよ。乗るでしょ? これで貸し借りはゼロなんだから」

まびさしをあげたエヴァが、笑う。

……誇り高い女だ。

「目的地は?」

「それはもちろん、」

「自由の国?」

「ふふ、その通り」

だろうな。

「貧困しか待ってないぞ」

「だったら、そこでがんばって富を得ればいいだけでしょう?」

本当、お前は、強いヤツだよ。

「そうだな」

「そうよ」

エヴァが笑った。

エヴァが笑ったから、自分も笑った。


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