隠し味
「そんなに私と別れたいんだね、修二くん……」
落ち込んだように見えた美嘉は、はあっと小さく溜め息を吐いていた。
「私は修二くんと一生一緒にいるつもりでいたのに、修二くんにはそんな気持ち、なかったんだ……」
そう言うと、美嘉は落としたわたあめを自身の口へ運んでいく。
砂利がつき、もはや白とは言えないそれをぺろりと舐めるさまは生理的に受け入れられなかった。
呆気にとられた俺がただ傍観していると、美嘉は口内に入った石の粒をジャリッと音を立てて噛み砕く。そして俺を真っ直ぐと見た。
「こんな汚い砂利が隠し味のわたあめなんかじゃ美味しくないから、次は違う隠し味を入れてくるね」
「違う、隠し味……?」
「そのわたあめを修二くんが食べてくれたら別れてあげる。もう二度と、修二くんには迷惑かけない」
わたあめを頬張りながら反転した美嘉は、そのままカツカツとヒールを奏でて消えて行く。
美嘉の手作りわたあめを食べれば俺はこの地獄から解放される。妻子に一切バレることなく、この不倫関係を終えられる。
そう考えれば、美嘉が作ったわたあめを早く食べたいとすら思った。
落ち込んだように見えた美嘉は、はあっと小さく溜め息を吐いていた。
「私は修二くんと一生一緒にいるつもりでいたのに、修二くんにはそんな気持ち、なかったんだ……」
そう言うと、美嘉は落としたわたあめを自身の口へ運んでいく。
砂利がつき、もはや白とは言えないそれをぺろりと舐めるさまは生理的に受け入れられなかった。
呆気にとられた俺がただ傍観していると、美嘉は口内に入った石の粒をジャリッと音を立てて噛み砕く。そして俺を真っ直ぐと見た。
「こんな汚い砂利が隠し味のわたあめなんかじゃ美味しくないから、次は違う隠し味を入れてくるね」
「違う、隠し味……?」
「そのわたあめを修二くんが食べてくれたら別れてあげる。もう二度と、修二くんには迷惑かけない」
わたあめを頬張りながら反転した美嘉は、そのままカツカツとヒールを奏でて消えて行く。
美嘉の手作りわたあめを食べれば俺はこの地獄から解放される。妻子に一切バレることなく、この不倫関係を終えられる。
そう考えれば、美嘉が作ったわたあめを早く食べたいとすら思った。