アンノウアブル!憧れだった先輩が部下になりました
結局、紅葉の誘いを断れなかった千里は随分と高そうな個室居酒屋の店の前で待ちぼうけを喰らっていた。
(もう…。頑張って仕事きりあげたのに…)
定刻通り、到着した千里であったが紅葉の姿は先程から見当たらない。メッセージアプリで連絡を取ろうとするが生憎充電が切れてしまった。
(充電器持ってくるべきだった…)
まさかの失態に、わかりやすく凹んでいると突然何者かと肩が衝突する。
「あ!、すみません…」
慌てて謝罪するも、顔を上げた先にいたのは明らかにヤの着く強面の男であった。
「痛ってぇな」
「す、すみません!」
千里は慌ててもう一度謝罪する。しかし、強面の男は大きな事故にでもあったかの様に大袈裟に肩を抑えている。
「あー、折れたかもしんねぇ、どうしてくれんだ?」
「は?」
よくある悪役の台詞を吐く男に、千里はあからさまに不快感を示す。
「あ?んだよ、その顔は!折れたかもしれねぇって言ってんだよ!」
大声で怒鳴りつける男に千里の中で何かがキレる。
普通の女性ならここで助けを求めるのだろうが、生憎こちらは常日頃からこういった人間の対処をしているため怖さよりも面倒臭さが勝ってしまう。
「あーはいはい、ごめんなさいね。でもそんだけ怒れるなら問題ないから。なんなら今から警察いく?」
千里はそういうと、ドヤ顔で自身の警察手帳を見せる。
「な!おめぇ、サツかよ…」
明らかに、動揺を示す男に千里は「ええ、そうよ」と言って髪を掻き上げる。
「ま、まぁ。今日のところは許してやるよ…」
すると、男はじゃあな。といって姿を消してしまった。
(全く、舐められたものね)
千里は少し疲れた表情でため息を吐く。すると、再び誰かの手が肩へと当たった。
「もう!、何?」
「す、すんません…?」
振り向いた先にいたのは少し息の上がった紅葉であった。
「あ、いや、お、お疲れ様」
千里は慌てて笑顔を作る。
「お疲れっす。すんません、遅くなって…」
紅葉は素直に頭を下げる。やはり、遅刻であったようだ。
二人はようやく、個室居酒屋に足を踏み入れると、ビールを注文した。まさか、紅葉が酒を飲むと思っていなかった千里は目の前でビールとつまみを口にするイケメンの姿に少し可笑しくなる。
「何か可笑しかったっスか?」
紅葉は少し戸惑った様子で尋ねる。
「紅葉ってお酒飲むんだと思って…」
スポーツマンはあまりお酒を飲む印象がなかった千里は素直に答える。
「…、まぁ飲み会とかはあんま行かないッスけど」
お酒のせいか、少し赤らむ紅葉の表情に千里は微笑む。きっとファンの子がみたら発狂するに違いない。
「それで?どうして突然飲みになんて誘ったのよ」
今まで、紅葉と食事をする事はあってもこうやってサシで飲むのは初めてのことである。
千里の質問に紅葉は少し考えた素振りで前髪を弄る。
「……先輩、この前からなんか変なんで」
紅葉の言葉に千里はギクリと身体を硬直させる。
「べ、別に普通よ?」
出来るだけ、平然を装って答えるが紅葉は顔を顰める。
「普通だと?、この前俺と蓮見が言い合いになっても何も言わなかった」
「そ、そんなの、貴女達が話を聞かないからでしょ?」
「でも、いつものあんたなら普通に割って入ったろ。でもそれをしなかった。最初は本当に面倒なのかと思ってたけど、もしかしたら割って入りたくない理由でもあるのかと思った」
珍しく流暢に話す紅葉に、千里は推し黙る。
「ねぇ、先輩…。あの張り込みの時、蓮見となんかあったの?」
紅葉の鋭い質問に、千里は視線を泳がす。
「蓮見にキスでもされた?」
図星の質問に、いよいよ逃げ場が無くなってしまう。
「先輩…、俺も一応刑事なんで」
隠し事しても意味無いッスよ。
(もう…。頑張って仕事きりあげたのに…)
定刻通り、到着した千里であったが紅葉の姿は先程から見当たらない。メッセージアプリで連絡を取ろうとするが生憎充電が切れてしまった。
(充電器持ってくるべきだった…)
まさかの失態に、わかりやすく凹んでいると突然何者かと肩が衝突する。
「あ!、すみません…」
慌てて謝罪するも、顔を上げた先にいたのは明らかにヤの着く強面の男であった。
「痛ってぇな」
「す、すみません!」
千里は慌ててもう一度謝罪する。しかし、強面の男は大きな事故にでもあったかの様に大袈裟に肩を抑えている。
「あー、折れたかもしんねぇ、どうしてくれんだ?」
「は?」
よくある悪役の台詞を吐く男に、千里はあからさまに不快感を示す。
「あ?んだよ、その顔は!折れたかもしれねぇって言ってんだよ!」
大声で怒鳴りつける男に千里の中で何かがキレる。
普通の女性ならここで助けを求めるのだろうが、生憎こちらは常日頃からこういった人間の対処をしているため怖さよりも面倒臭さが勝ってしまう。
「あーはいはい、ごめんなさいね。でもそんだけ怒れるなら問題ないから。なんなら今から警察いく?」
千里はそういうと、ドヤ顔で自身の警察手帳を見せる。
「な!おめぇ、サツかよ…」
明らかに、動揺を示す男に千里は「ええ、そうよ」と言って髪を掻き上げる。
「ま、まぁ。今日のところは許してやるよ…」
すると、男はじゃあな。といって姿を消してしまった。
(全く、舐められたものね)
千里は少し疲れた表情でため息を吐く。すると、再び誰かの手が肩へと当たった。
「もう!、何?」
「す、すんません…?」
振り向いた先にいたのは少し息の上がった紅葉であった。
「あ、いや、お、お疲れ様」
千里は慌てて笑顔を作る。
「お疲れっす。すんません、遅くなって…」
紅葉は素直に頭を下げる。やはり、遅刻であったようだ。
二人はようやく、個室居酒屋に足を踏み入れると、ビールを注文した。まさか、紅葉が酒を飲むと思っていなかった千里は目の前でビールとつまみを口にするイケメンの姿に少し可笑しくなる。
「何か可笑しかったっスか?」
紅葉は少し戸惑った様子で尋ねる。
「紅葉ってお酒飲むんだと思って…」
スポーツマンはあまりお酒を飲む印象がなかった千里は素直に答える。
「…、まぁ飲み会とかはあんま行かないッスけど」
お酒のせいか、少し赤らむ紅葉の表情に千里は微笑む。きっとファンの子がみたら発狂するに違いない。
「それで?どうして突然飲みになんて誘ったのよ」
今まで、紅葉と食事をする事はあってもこうやってサシで飲むのは初めてのことである。
千里の質問に紅葉は少し考えた素振りで前髪を弄る。
「……先輩、この前からなんか変なんで」
紅葉の言葉に千里はギクリと身体を硬直させる。
「べ、別に普通よ?」
出来るだけ、平然を装って答えるが紅葉は顔を顰める。
「普通だと?、この前俺と蓮見が言い合いになっても何も言わなかった」
「そ、そんなの、貴女達が話を聞かないからでしょ?」
「でも、いつものあんたなら普通に割って入ったろ。でもそれをしなかった。最初は本当に面倒なのかと思ってたけど、もしかしたら割って入りたくない理由でもあるのかと思った」
珍しく流暢に話す紅葉に、千里は推し黙る。
「ねぇ、先輩…。あの張り込みの時、蓮見となんかあったの?」
紅葉の鋭い質問に、千里は視線を泳がす。
「蓮見にキスでもされた?」
図星の質問に、いよいよ逃げ場が無くなってしまう。
「先輩…、俺も一応刑事なんで」
隠し事しても意味無いッスよ。