アンノウアブル!憧れだった先輩が部下になりました
第十章【事件と蓮見の猛反撃】
紅葉宅から、無事帰宅する事ができた千里は家に入るなり自身のベッドへとそのままダイブする。結局、告白の返答は保留という型で納得してもらい、久方ぶりの安らげる空間に睡魔が襲ってくる。
(悪い事しちゃったな…)
千里は盛大にため息を吐くと、ベットへと顔を擦り付ける。
ただでさえ、部屋を汚し、その上そのまま寝てしまうなんて。
(激務が祟ったのね…)
普段はそれなりにお酒を飲んでも吐くことはないのだが、どうやら昨日はかなり疲労が溜まっていたようだ。それに、慣れない男の部屋に上がり込んだ事も原因としてあげられる。
千里は昨晩の紅葉の事を思い出す。
どこか余裕のない表情。
いつもとは違う口調。
熱の篭った視線。
それでいて、千里の失態に笑顔で対応する紳士さ。
(かっこいいよな…)
千里は悩ましげに、ため息を吐く。
文句一つ言わず、「いいよ」と笑って許してくれた紅葉の姿に千里は心変わりしそうになる。
(紅葉の彼女か…)
ふと不埒な考えが浮上するが、流石に同じ職場の後輩(厳密には同い年)に手を出すのはいかがなものか。
取り留めもない考えが頭の中を駆け巡る。
紅葉の事は嫌いではない。しかし、好きなのかと問われるとやはりまだ蓮見への思いの方が大きいのは事実である。
(どうしよ…)
産まれてこの方、こんな恋愛の悩みなど抱えたことのない千里はうんうんと頭を唸らせる。すると、どこからともなく千里のスマホが鳴り響いた。
驚いた千里は慌てて鞄をひっくり返すと、スマホの通話ボタンをタップする。
「は、はい!!」
「おせーよ」
「す、すみません…」
突然の事に通話相手を確認し損ねた千里は素直に謝罪を述べる。しかし、電話越しの相手はその反応に大きくため息を吐く。
「何がすみませんだよ…、俺だよ、俺」
「母さん助けて詐欺ですか?」
「蓮見だよ!!蓮見!!」
いつもなら絶対に言わないジョークに蓮見が間髪いれずに突っ込みを入れる。
「おーい、大丈夫か?」
何故蓮見から電話がきてるのか理解が追い付かない千里は慌ててカレンダーを確認する。
「蓮見君、今日は私休みなんだけど…」
「召集だってよ」
「…」
まさかの一言に千里は黙り込む。
「おい、無視すんな。内藤さんめっちゃキレてんぞ。十回以上かけても繋がんねぇって」
そこでようやく、蓮見が千里に電話をかけてきた理由を理解する。
眠りかけていた頭が徐々に覚醒すると、千里は「今から行きます!!」とだけ伝えて、蓮見からの通話を切った。
(悪い事しちゃったな…)
千里は盛大にため息を吐くと、ベットへと顔を擦り付ける。
ただでさえ、部屋を汚し、その上そのまま寝てしまうなんて。
(激務が祟ったのね…)
普段はそれなりにお酒を飲んでも吐くことはないのだが、どうやら昨日はかなり疲労が溜まっていたようだ。それに、慣れない男の部屋に上がり込んだ事も原因としてあげられる。
千里は昨晩の紅葉の事を思い出す。
どこか余裕のない表情。
いつもとは違う口調。
熱の篭った視線。
それでいて、千里の失態に笑顔で対応する紳士さ。
(かっこいいよな…)
千里は悩ましげに、ため息を吐く。
文句一つ言わず、「いいよ」と笑って許してくれた紅葉の姿に千里は心変わりしそうになる。
(紅葉の彼女か…)
ふと不埒な考えが浮上するが、流石に同じ職場の後輩(厳密には同い年)に手を出すのはいかがなものか。
取り留めもない考えが頭の中を駆け巡る。
紅葉の事は嫌いではない。しかし、好きなのかと問われるとやはりまだ蓮見への思いの方が大きいのは事実である。
(どうしよ…)
産まれてこの方、こんな恋愛の悩みなど抱えたことのない千里はうんうんと頭を唸らせる。すると、どこからともなく千里のスマホが鳴り響いた。
驚いた千里は慌てて鞄をひっくり返すと、スマホの通話ボタンをタップする。
「は、はい!!」
「おせーよ」
「す、すみません…」
突然の事に通話相手を確認し損ねた千里は素直に謝罪を述べる。しかし、電話越しの相手はその反応に大きくため息を吐く。
「何がすみませんだよ…、俺だよ、俺」
「母さん助けて詐欺ですか?」
「蓮見だよ!!蓮見!!」
いつもなら絶対に言わないジョークに蓮見が間髪いれずに突っ込みを入れる。
「おーい、大丈夫か?」
何故蓮見から電話がきてるのか理解が追い付かない千里は慌ててカレンダーを確認する。
「蓮見君、今日は私休みなんだけど…」
「召集だってよ」
「…」
まさかの一言に千里は黙り込む。
「おい、無視すんな。内藤さんめっちゃキレてんぞ。十回以上かけても繋がんねぇって」
そこでようやく、蓮見が千里に電話をかけてきた理由を理解する。
眠りかけていた頭が徐々に覚醒すると、千里は「今から行きます!!」とだけ伝えて、蓮見からの通話を切った。