ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
第八章 夢と面影を追って

1. 夢を追って

 ジャンがいなくなってから、もうすぐ二年の月日が経とうとしていた。




「千夜子。レッスン行くついでに、これポストに出してきてくれない?」


 家を出ようとしたら母親に封筒を手渡された。ポストは道中にあるから特に問題はない。チャコは「わかった」と言い、素直にそれを受け取った。


「今日も帰りは夜?」
「うん。天気いいし、外で練習してから帰る」
「帰り、気をつけなさいね」
「はーい。行ってきます」


 チャコは駅前のポストに封筒を入れると、そのまま駅の改札を通り、目的の場所へと向かった。
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