ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~

2. 面影を追って

 チャコは連休を使って、地元へと帰ってきた。目的のレストランに行けば、そこにはすでに恵と由香の姿があった。こっちに帰ってくると言ったら、二人とも会おうと言ってくれたのだ


「二人とも久しぶりー」
「チャコは変わんないねー。あんたの顔見るとなんか安心するわ」
「なんかそれバカにしてない?」


 久しぶりに会ったというのに、再会して早々にいつもの空気が流れた。


「してないって。チャコはそのままがいいって言ってるんだよ。だって、由香見てみなよ。あんな大人しそうな見た目だったのに、いつの間にか大人なお姉さんの雰囲気醸し出してんだもん」


 確かに由香は高校生のころとは随分と見た目が変わっている。当時は後ろで一つに縛っていた髪を肩に下ろし、きれいに化粧も施している。どこからどう見てもイケてる女子大生だ。


「やめてよ。少し身だしなみに気をつかうようになっただけだから」


 恥ずかしそうにする由香に恵はごめんと謝っている。見た目は変わったが、中身までイケイケになったわけではないのだ。


「ね、チャコのそれってギターだよね?」


 荷物になるとは思ったが、チャコはギターを持って地元に戻ってきていた。


「そうだよ。大分弾けるようになってきた」
「えー、聴きたい!」
「私も。チャコの歌も聴きたいな」


 まだまだ素人レベルだが、友人からそうやって求められれば、応えてやりたくなる。元々弾くつもりで持ってきたものだし、どうせならこの友人たちも連れてあの場所へ行くのもいいかもしれない。


「じゃあさ、ご飯食べたら、二人ともちょっとついてきてよ。弾きたい場所があるから」


 二人ともそれは楽しみだと頷いてくれた。
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