ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
第九章 アンサーソング
1. アンサーソングの作り手は
プロデューサーから呼び出され、事務所へとやってきたチャコ。都会の建物というのはどうも落ち着かない。間違って子供が紛れ込んでしまったようなそんな心細さを感じるのだ。
「こんにちは。突然呼びだしてごめんなさいね」
会議室で待っていると担当プロデューサーの鹿島透子が入ってきた。洗練された大人な女性という感じがして、チャコはこの人の近くにいるといつもドキドキとしてしまう。
「いえ、大丈夫です」
「そう。じゃあ、早速本題に入りましょうか。今日はあなたに相談があって呼びだしたの」
「はい」
「実は、あなたととても相性のよさそうな歌い手を見つけたの。まだその人物とはコンタクト取っていないから、絶対ってわけではないけど、あなたとデュオを組ませたらどうかと思ってる」
「デュオ……」
「そう。その人物とデュオを組んでデビューさせる」
チャコが一緒に夢を叶えたい人物はジャンだけだ。他の人と組むなんてチャコには考えられなかった。
「あの……私、他の人と一緒にやるのは……」
「まあ、そうよね。でも、一回その人の歌を聴いてみてから判断してもらえるかしら?」
そう言われてはさすがに頷くしかない。
「……はい、わかりました」
「あなたと組ませたいってその人物だけど、実はあなたの曲のアンサーソングを投稿してる人なのよ」
「え、アンサーソング?」
自分の曲にそんなものができているだなんてまったく知らなかった。
「ええ。その反応だとまだ知らないようね。そのアンサーソングもかなり再生数を伸ばしてる。この動画を見てみて」
透子から見せられたノートPCの画面には動画が映っている。動画のタイトルを確認すれば、確かに『君ともう一度』のアンサーソングと書かれていた。
透子からヘッドホンを手渡される。チャコが大人しくそれを耳に当てると、すぐに透子が再生ボタンを押した。
自分が作ったものと同じメロディーが流れてくる。けれど、歌詞はチャコが書いたものとは異なる視点になっていた。
「こんにちは。突然呼びだしてごめんなさいね」
会議室で待っていると担当プロデューサーの鹿島透子が入ってきた。洗練された大人な女性という感じがして、チャコはこの人の近くにいるといつもドキドキとしてしまう。
「いえ、大丈夫です」
「そう。じゃあ、早速本題に入りましょうか。今日はあなたに相談があって呼びだしたの」
「はい」
「実は、あなたととても相性のよさそうな歌い手を見つけたの。まだその人物とはコンタクト取っていないから、絶対ってわけではないけど、あなたとデュオを組ませたらどうかと思ってる」
「デュオ……」
「そう。その人物とデュオを組んでデビューさせる」
チャコが一緒に夢を叶えたい人物はジャンだけだ。他の人と組むなんてチャコには考えられなかった。
「あの……私、他の人と一緒にやるのは……」
「まあ、そうよね。でも、一回その人の歌を聴いてみてから判断してもらえるかしら?」
そう言われてはさすがに頷くしかない。
「……はい、わかりました」
「あなたと組ませたいってその人物だけど、実はあなたの曲のアンサーソングを投稿してる人なのよ」
「え、アンサーソング?」
自分の曲にそんなものができているだなんてまったく知らなかった。
「ええ。その反応だとまだ知らないようね。そのアンサーソングもかなり再生数を伸ばしてる。この動画を見てみて」
透子から見せられたノートPCの画面には動画が映っている。動画のタイトルを確認すれば、確かに『君ともう一度』のアンサーソングと書かれていた。
透子からヘッドホンを手渡される。チャコが大人しくそれを耳に当てると、すぐに透子が再生ボタンを押した。
自分が作ったものと同じメロディーが流れてくる。けれど、歌詞はチャコが書いたものとは異なる視点になっていた。