ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「でも、突然歌えなくなった……」
その言葉にチャコは息をのんだ。航平に聞かされた話を思いだしたのだ。
「上手く声が出せなくなった。声がまったく出ないわけじゃない。でも、自分が出そうと思ってるように出なくて、勝手に喉が詰まったみたいになる。普段の会話は問題ないのに、なぜか歌おうとするとそうなった」
歌だけ急に歌えなくなるなんてどれほどの恐怖を味わったのだろうか。想像するだけでもこんなに恐ろしいのに。
「すぐに病院に行って調べてもらった。心因性のものだろうって言われて、治療を受けてみたけど、一向に治る気配がなかった。それどころか、普段の会話にまで影響が出るようになった。声が詰まって上手くしゃべれなくなったんだ」
その状況を想像してチャコは苦しくなった。そんな追い打ちをかけるようなことが起これば、まともな気持ちではいられなかっただろう。
「最初はそれでも頑張ってしゃべろうとしてた。でも、周りにバカにされて、だんだん声を出すのが怖くなった。そのうち家族以外とはしゃべれなくなってしまった」
チャコは思わず繋いでいた手を強く握りしめた。その過去をいたわるように。どうしようもないことだが、そのとき自分がジャンのそばにいられなかったのが、ジャンと出会えていなかったのが悔しかった。
「さすがにつらくて、家族に相談して高校を休学したんだ。休学して少し気持ちは落ち着いたけど、症状はずっと治らないままだった。チャコに出会ったのはそんなときだった。声が出せないわけじゃないけど、やっぱり怖くて、だから何も話さなかった」
「ジャン……」
思わずそうこぼせば、ジャンが大丈夫だというようにチャコの頭をポンポンと叩いた。
その言葉にチャコは息をのんだ。航平に聞かされた話を思いだしたのだ。
「上手く声が出せなくなった。声がまったく出ないわけじゃない。でも、自分が出そうと思ってるように出なくて、勝手に喉が詰まったみたいになる。普段の会話は問題ないのに、なぜか歌おうとするとそうなった」
歌だけ急に歌えなくなるなんてどれほどの恐怖を味わったのだろうか。想像するだけでもこんなに恐ろしいのに。
「すぐに病院に行って調べてもらった。心因性のものだろうって言われて、治療を受けてみたけど、一向に治る気配がなかった。それどころか、普段の会話にまで影響が出るようになった。声が詰まって上手くしゃべれなくなったんだ」
その状況を想像してチャコは苦しくなった。そんな追い打ちをかけるようなことが起これば、まともな気持ちではいられなかっただろう。
「最初はそれでも頑張ってしゃべろうとしてた。でも、周りにバカにされて、だんだん声を出すのが怖くなった。そのうち家族以外とはしゃべれなくなってしまった」
チャコは思わず繋いでいた手を強く握りしめた。その過去をいたわるように。どうしようもないことだが、そのとき自分がジャンのそばにいられなかったのが、ジャンと出会えていなかったのが悔しかった。
「さすがにつらくて、家族に相談して高校を休学したんだ。休学して少し気持ちは落ち着いたけど、症状はずっと治らないままだった。チャコに出会ったのはそんなときだった。声が出せないわけじゃないけど、やっぱり怖くて、だから何も話さなかった」
「ジャン……」
思わずそうこぼせば、ジャンが大丈夫だというようにチャコの頭をポンポンと叩いた。