ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
第三章 音を楽しむ
1. 『Joy』
季節は冬へと移り変わり、外にいるのは随分と寒くなってきた。秋には賑やかだった河川敷もだんだんとそこで過ごす人が減ってきた。
そんな季節のとある日、チャコがいつものように放課後に河川敷に来てみれば、ジャンが珍しく土手の上に立っていた。
「ジャン、どうしたの?」
問いかけてみれば、いつものようににこっと微笑む。そして、チャコのそばに寄ると、ジャンはチャコの自転車を取り上げ、そのまま歩きはじめてしまった。
「え!? ちょっと、ジャンどこ行くの?」
ジャンは微笑んだまま、スタスタと歩いていく。驚きのあまりチャコがぼーっとしていれば、ジャンは一度止まって振り向き、手の平を上に向けた状態で指先を曲げて、おいでおいでという仕草をした。
(うっ……それかっこいいっ……)
手を下ではなく上に向けた状態でするその仕草に、チャコは少しの男らしさを感じて、胸をぎゅっと締めつけられたような心地になった。
そんな季節のとある日、チャコがいつものように放課後に河川敷に来てみれば、ジャンが珍しく土手の上に立っていた。
「ジャン、どうしたの?」
問いかけてみれば、いつものようににこっと微笑む。そして、チャコのそばに寄ると、ジャンはチャコの自転車を取り上げ、そのまま歩きはじめてしまった。
「え!? ちょっと、ジャンどこ行くの?」
ジャンは微笑んだまま、スタスタと歩いていく。驚きのあまりチャコがぼーっとしていれば、ジャンは一度止まって振り向き、手の平を上に向けた状態で指先を曲げて、おいでおいでという仕草をした。
(うっ……それかっこいいっ……)
手を下ではなく上に向けた状態でするその仕草に、チャコは少しの男らしさを感じて、胸をぎゅっと締めつけられたような心地になった。