ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
だからだろうか。チャコはいつの間にか自信がついてきて、それに背中を押され、ある決心をした。
「二人ともこれ見て」
「ん? 何これ。音楽祭?」
恵と由香に音楽祭のチラシを渡して見せた。チャコは友人二人を音楽祭に誘うかどうかずっと迷っていたのだ。だが、練習を重ねるうちに自信がついて、大好きな友人にも聴いてもらいたい気持ちのほうが大きくなっていた。
「うん。あのね、実はここで歌うことになったんだ。だから、二人とも聴きにきてくれない? ジャンも一緒に出るの」
チャコの言葉に恵と由香は驚いて顔を見合わせた。
「そうなの? すごいじゃん! え、二人で出るの?」
「ううん。『Joy』で演奏している人も一緒」
「あー、例の天使に連れてかれたってお店の? へー。あんたのコミュ力はマジですごいわ。そっかー、行く行く。由香も行くでしょ?」
「もちろん。楽しみにしてるね」
「やった! ありがとう!」
二人が快諾してくれたことにチャコは喜びをあらわにした。
「でも、いいの? 私たちが天使の演奏聴いても。最初渋ってたじゃん」
「うん。皆頑張ってるんだもん。二人にも知ってほしい」
今でもジャンと二人の時間を独り占めしたい気持ちはある。それでも、皆で作り上げているあの音楽は二人に聴いてほしかった。
「そっか。じゃあ、遠慮なく!」
二人が聴きにきてくれると思えば、チャコは俄然やる気が湧いてきた。二人にもチャコが味わったのと同じ感動を味わってほしいと思った。
「何楽しそうに話してんだよ」
三人で盛りあがっていれば、突然後ろから声をかけられた。振り向けば、ニヤニヤとした顔の航平がそこにいた。チャコはいつもその表情に文句を言いたくなるのだが、今は音楽祭のことで頭がいっぱいでまったく気にならない。
「あ、航平もよかったら来てよ!」
「あ?」
「これ! 私、この音楽祭で歌うの」
チャコにとっては航平も大事な友人だ。航平も聴きにきてくれれば嬉しい。
「へー。しゃーねーな。お前が来てほしいんなら聴きにいってやるよ」
「うん! 聴きにきて!」
「わ、わかったよ。絶対行く」
「ありがとう! 航平」
「おう……」
素直なチャコに、この日は航平も素直に返すしかなかった。そんな二人の様子を恵と由香は少し心配そうに眺めていた。
「天使と鉢合わせ大丈夫かな?」
「うーん。まあ、演奏聴くだけなら大丈夫なんじゃないかな?」
「二人ともこれ見て」
「ん? 何これ。音楽祭?」
恵と由香に音楽祭のチラシを渡して見せた。チャコは友人二人を音楽祭に誘うかどうかずっと迷っていたのだ。だが、練習を重ねるうちに自信がついて、大好きな友人にも聴いてもらいたい気持ちのほうが大きくなっていた。
「うん。あのね、実はここで歌うことになったんだ。だから、二人とも聴きにきてくれない? ジャンも一緒に出るの」
チャコの言葉に恵と由香は驚いて顔を見合わせた。
「そうなの? すごいじゃん! え、二人で出るの?」
「ううん。『Joy』で演奏している人も一緒」
「あー、例の天使に連れてかれたってお店の? へー。あんたのコミュ力はマジですごいわ。そっかー、行く行く。由香も行くでしょ?」
「もちろん。楽しみにしてるね」
「やった! ありがとう!」
二人が快諾してくれたことにチャコは喜びをあらわにした。
「でも、いいの? 私たちが天使の演奏聴いても。最初渋ってたじゃん」
「うん。皆頑張ってるんだもん。二人にも知ってほしい」
今でもジャンと二人の時間を独り占めしたい気持ちはある。それでも、皆で作り上げているあの音楽は二人に聴いてほしかった。
「そっか。じゃあ、遠慮なく!」
二人が聴きにきてくれると思えば、チャコは俄然やる気が湧いてきた。二人にもチャコが味わったのと同じ感動を味わってほしいと思った。
「何楽しそうに話してんだよ」
三人で盛りあがっていれば、突然後ろから声をかけられた。振り向けば、ニヤニヤとした顔の航平がそこにいた。チャコはいつもその表情に文句を言いたくなるのだが、今は音楽祭のことで頭がいっぱいでまったく気にならない。
「あ、航平もよかったら来てよ!」
「あ?」
「これ! 私、この音楽祭で歌うの」
チャコにとっては航平も大事な友人だ。航平も聴きにきてくれれば嬉しい。
「へー。しゃーねーな。お前が来てほしいんなら聴きにいってやるよ」
「うん! 聴きにきて!」
「わ、わかったよ。絶対行く」
「ありがとう! 航平」
「おう……」
素直なチャコに、この日は航平も素直に返すしかなかった。そんな二人の様子を恵と由香は少し心配そうに眺めていた。
「天使と鉢合わせ大丈夫かな?」
「うーん。まあ、演奏聴くだけなら大丈夫なんじゃないかな?」