ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「本当に待ち合わせしてんのかよ。来ねえじゃねぇか」
航平が現れてからすでに三十分が経過していた。
「航平はもう行ってよ。私のことは気にしないで」
「なんだよ、それ。やっぱお前は俺と来い」
航平に強く手首をつかまれ、そのまま引っ張られる。
「ちょっ!? 航平、離してっ!」
航平の手を振り解こうと踏ん張ったところで、反対の手がつかまれて、チャコは驚き振り返った。
「っ!? ……ジャン」
キャップを目深にかぶっているがすぐにジャンだとわかった。
ジャンの登場に驚いたのか、チャコの手首をつかんでいた航平の手が緩む。その瞬間、ジャンがグイっとチャコの手を引いたから、チャコはジャンの胸にもたれかかるような形になった。
ジャンはチャコをしっかりと抱きとめ支えると、すぐにチャコの手を引いて歩きだした。後ろから航平が何か言うのが聞こえたが、ジャンがずんずん歩いていくから、意識が逸れて何を言っているのかまでは聞き取れなかった。
航平が現れてからすでに三十分が経過していた。
「航平はもう行ってよ。私のことは気にしないで」
「なんだよ、それ。やっぱお前は俺と来い」
航平に強く手首をつかまれ、そのまま引っ張られる。
「ちょっ!? 航平、離してっ!」
航平の手を振り解こうと踏ん張ったところで、反対の手がつかまれて、チャコは驚き振り返った。
「っ!? ……ジャン」
キャップを目深にかぶっているがすぐにジャンだとわかった。
ジャンの登場に驚いたのか、チャコの手首をつかんでいた航平の手が緩む。その瞬間、ジャンがグイっとチャコの手を引いたから、チャコはジャンの胸にもたれかかるような形になった。
ジャンはチャコをしっかりと抱きとめ支えると、すぐにチャコの手を引いて歩きだした。後ろから航平が何か言うのが聞こえたが、ジャンがずんずん歩いていくから、意識が逸れて何を言っているのかまでは聞き取れなかった。