ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
第七章 見つけた夢

1. 挑戦

「チャコ、今年はこれ出てみない?」


 恵に渡されたのは文化祭のサブステージの出場者募集の案内だった。

 メインステージでは主に部活動の出し物が行われるが、サブステージはもっと自由に個人で出場できるステージになっている。メインステージとは違い、こちらは事前に申請しておけば、外部の人間も一緒に参加可能だ。とはいえ、大体は歌の得意な生徒数人が参加しているだけだ。

 実はチャコは去年も出場したらどうかと言われていたのだが、あまり人前で歌う気にはなれなくて断っていた。だが、今年は違う。一年前とはいろんなことが変わっていた。


「恵、私出る! 私歌いたい歌がある。今年は挑戦する!」
「え、マジ!? やった。応援する!」


 出場の意思を示すとチャコよりも恵のほうが興奮していた。


「あはは、恵のほうがノリ気じゃん」
「だって、チャコの歌もっといろんな人に聴いてほしかったから。それに音楽祭のときのチャコ、本当に楽しそうだったから、また歌ってほしいなって思ってた」
「そっか。ありがとう、恵」


 恵がそんなふうに思っていてくれたことが嬉しい。その期待に応えたいとチャコは早速出場するための申請書をもらってきた。一週間後の締め切りまでに提出しなければならない。しかし、チャコにはこれを出す前にやらねばならないことがあった。
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