ギター弾きの天使とデュエットを ~言葉を話さぬ彼に惹かれて、二人は同じ夢を見る~
「ジャン、これあげる」


 チャコは外部用の文化祭入場チケットを手渡した。


「これがあれば外部の人でも入れるから。来れたら来て? 聴きにきてくれたら嬉しい」


 ジャンはそれを受け取ってくれたものの、困ったように微笑んでいたから、本当に来てくれるかどうかはわからない。それでもこのチケットをジャン以外に渡す気はまったくなかった。


「ねぇ、練習は付きあってくれる?」


 その問いにはちゃんと笑って頷いてくれた。淋しくないわけではないが、チャコはそれだけでも十分に嬉しかった。ジャンのためにも全力を注ぎたいとチャコは思った。

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