あの日、桜のキミに恋をした
休日というだけあって、公園は家族連れで大賑わいだった。


到着直後から走り回っていたからか春斗がすぐにお腹を空かせたため、私たちはレジャーシートを敷いて早めのお昼にする。


みんなで簡単につまめる物がいいと思って、お弁当にはおにぎりやからあげ、卵焼き、ちょっとした野菜、フルーツを詰めた。


「うま!俺由奈の手料理初めてかも」


「あれ、そうでしたっけ?」


付き合う前も先輩は定期的にうちに来て春斗と遊んでくれていたし、てっきり料理を振る舞ったことくらいあると思っていた。


これから、こうして3人でご飯を食べることも増えるのかもしれない。


「オレ、トマトはムリ!ヤダ!」


美味しいと言って食べてくれている先輩の横で、春斗が苦手なトマトをピックから外していた。


「ダーメ!ほらあーん!」


春斗が嫌々口を開けた隙にミニトマトを放り込むと、なぜか先輩も「あー」と言いながら口を開けて私の方を向いていた。
 

「先輩までどうしたんですか?」


「俺にもあーんしてほしい!」


おそらくそんなことだろうとは思った。


先輩は春斗の前でも交際を匂わせるような言動を取ることがあるから、私はいつ春斗に指摘されるのか内心ヒヤヒヤしていた。


最近の小学生はそういう勘が冴えているのだ。


「お母さんとじゅんラブラブじゃん!もしかして、つきあってるの?」
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