あの日、桜のキミに恋をした
「美月……?」
そこにはかつての私の親友・橘美月が立っていた。
雰囲気はかなり変わったけれど、あの頃の面影はしっかり残っていた。
隣には知らない女性がいて、たまたま彼女もこの公園に遊びに来ていたようだった。
話しかけた方も話しかけられた方も、この後どうすればいいのか分からなくて固まってしまう。
私は堪えきれずに彼女から目を逸らした。
私たちの間に流れるこの微妙な空気を察してくれたのか、春斗を遊びに連れて行ってくれた。
美月は「そこいい?」と、私しかいないレジャーシートを指差す。
私は小さく頷いて、広げていたお弁当を仕舞った。
「久しぶりだね……」
「うん、久しぶり……」
「元気そうで良かった……」
「美月も元気そうで良かった……」
お互い前を見たまま淡々と定型分のような会話のキャッチボールをした。
私は美月にすら何も言わずに高校を辞めてしまったから、最後の会話がいつどんなものだったかも覚えていない。
今さらどんな顔して話せばいいのだろうか。
「……やっぱりあの噂本当だったんだね」
「あの噂?」
「さっきの男の子って由奈の子どもでしょ?しかも一緒にいたのってうちの高校の先輩だよね?あの頃からずっと付き合ってたの?」
「えっと……」
私が妊娠したことを知っていたのは、あの学校では先輩だけだった。
気づかれないようにしていたつもりだったけど、どうやら噂は立っていたらしい。
親友にも隠し事をしていた負い目のせいなのか、それともただ単に会わなかった時間が長すぎたせいか。
美月とはあんなに気が置けない仲だったのに、今は初対面の人よりも話しづらい。
妊娠して高校を辞めたことは、もはや話しても構わない。
でも春斗は先輩の子ではないし、実際に私が彼と恋愛関係になったのはつい最近のことだ。
嘘はつきたくはなかったけれど、そうかと言って春斗の本当の父親について話すわけにもいかなくて。
私は矢継ぎ早にされる質問の答えに困り、黙り込んでしまう。
「……ごめんね急に!由奈も驚いたよね。とりあえず連絡先交換しない?今度ゆっくり話そうよ」
ハッキリしない私に痺れを切らしたのか、美月がスマホを取り出した。
春斗を先輩に任せてしまっているし、とにかく早くこの場を切り上げたくて、私はそれに応じることにした。
美月は「連絡するね〜」と手を振りながら行ってしまった。
そこにはかつての私の親友・橘美月が立っていた。
雰囲気はかなり変わったけれど、あの頃の面影はしっかり残っていた。
隣には知らない女性がいて、たまたま彼女もこの公園に遊びに来ていたようだった。
話しかけた方も話しかけられた方も、この後どうすればいいのか分からなくて固まってしまう。
私は堪えきれずに彼女から目を逸らした。
私たちの間に流れるこの微妙な空気を察してくれたのか、春斗を遊びに連れて行ってくれた。
美月は「そこいい?」と、私しかいないレジャーシートを指差す。
私は小さく頷いて、広げていたお弁当を仕舞った。
「久しぶりだね……」
「うん、久しぶり……」
「元気そうで良かった……」
「美月も元気そうで良かった……」
お互い前を見たまま淡々と定型分のような会話のキャッチボールをした。
私は美月にすら何も言わずに高校を辞めてしまったから、最後の会話がいつどんなものだったかも覚えていない。
今さらどんな顔して話せばいいのだろうか。
「……やっぱりあの噂本当だったんだね」
「あの噂?」
「さっきの男の子って由奈の子どもでしょ?しかも一緒にいたのってうちの高校の先輩だよね?あの頃からずっと付き合ってたの?」
「えっと……」
私が妊娠したことを知っていたのは、あの学校では先輩だけだった。
気づかれないようにしていたつもりだったけど、どうやら噂は立っていたらしい。
親友にも隠し事をしていた負い目のせいなのか、それともただ単に会わなかった時間が長すぎたせいか。
美月とはあんなに気が置けない仲だったのに、今は初対面の人よりも話しづらい。
妊娠して高校を辞めたことは、もはや話しても構わない。
でも春斗は先輩の子ではないし、実際に私が彼と恋愛関係になったのはつい最近のことだ。
嘘はつきたくはなかったけれど、そうかと言って春斗の本当の父親について話すわけにもいかなくて。
私は矢継ぎ早にされる質問の答えに困り、黙り込んでしまう。
「……ごめんね急に!由奈も驚いたよね。とりあえず連絡先交換しない?今度ゆっくり話そうよ」
ハッキリしない私に痺れを切らしたのか、美月がスマホを取り出した。
春斗を先輩に任せてしまっているし、とにかく早くこの場を切り上げたくて、私はそれに応じることにした。
美月は「連絡するね〜」と手を振りながら行ってしまった。