あの日、桜のキミに恋をした
「今日の、大丈夫だった?」
すっかり日も暮れた公園からの帰り道。
春斗が電車の中で寝てしまい、先輩が駅から家までの道のりをおんぶしてくれている。
彼は公園での出来事を心配してくれた。
「まさか高校の友達にこんな所で会うとは思ってなかったので驚いちゃいました。彼女色々勘違いしてて、春斗が先輩の子どもだと思われてるかも……また会おうって言われたのでちゃんと訂正しておきますね。変な噂が流れて先輩に迷惑かかるの嫌ですし」
「別に俺はそう思ってもらって全然いいけどな。今日1日でまた春斗と距離縮められたし。俺は春斗の父親的な存在にもなれたらいいなって思ってるから」
これはきっと彼が本心から言ってくれていることだった。
正直、先のことはまだあまり考えられないけれど、先輩と過ごせるこの時間が私にとってかけがえのないものになっているのは間違いなかった。
「春斗ばっかりじゃなくて、私のことも忘れないでくださいね……?」
私が少し甘えるように肩を寄せると、「そんな甘え方どこで覚えてきたんだよ」と彼は照れ笑いした。