あの日、桜のキミに恋をした
本当は毎日でも康介に会いたいところだけど、受験生である手前、私は勉強時間も確保しなければいならない。
だから、塾がなくて会えない日はよく電話をしていた。
確かあの日も塾が休みだったからいつものように通話をしていたんだと思う。
『今って家にいるんだよな?』
「えーっと今ね……駅から家に向かって歩いてる……」
『は!?今日は塾休みだろ!?』
「塾は休みだよ!ちょっと買い物に出かけてて……」
『じゃあ今外ってこと?迎え行くからどっかで待ってろ!』
私がいくら大丈夫だよと言っても康介は折れなかった。
確かに、住宅街はこの時間人通りも少なくてほんの少し怖かったから、家に着くまで電話を繋ぐということで話は落ち着いた。
公園が見えてきたらもう家まではあと少し。
なんだかガラの悪そうな人たちが屯しているのが見えた。
嫌な予感がしたから足速に通り過ぎようとしたけど、後ろから急に手を掴まれる。
公園の方ばかりに気を取られて、私は後ろから近づいてくる人に気が付かなかった。
「ねぇ君、《《アイツ》》の彼女なんだろ?」
——アイツって誰のこと?
話しかけてきた人は、ちょっと大人っぽい、高校生か、もしかしたら大学生くらいの男の人だった。
「やめてください、離して!」
私は睨みつけたけど、彼らはむしろ面白がっていて。
「さすが佐々木の女じゃん。度胸あるわー。逆に壊し甲斐がありそうで楽しめるかな」
——佐々木って、康介のこと?
私は口にガムテープを貼られて、公園の公衆トイレの中に連れ込まれた。
だから、塾がなくて会えない日はよく電話をしていた。
確かあの日も塾が休みだったからいつものように通話をしていたんだと思う。
『今って家にいるんだよな?』
「えーっと今ね……駅から家に向かって歩いてる……」
『は!?今日は塾休みだろ!?』
「塾は休みだよ!ちょっと買い物に出かけてて……」
『じゃあ今外ってこと?迎え行くからどっかで待ってろ!』
私がいくら大丈夫だよと言っても康介は折れなかった。
確かに、住宅街はこの時間人通りも少なくてほんの少し怖かったから、家に着くまで電話を繋ぐということで話は落ち着いた。
公園が見えてきたらもう家まではあと少し。
なんだかガラの悪そうな人たちが屯しているのが見えた。
嫌な予感がしたから足速に通り過ぎようとしたけど、後ろから急に手を掴まれる。
公園の方ばかりに気を取られて、私は後ろから近づいてくる人に気が付かなかった。
「ねぇ君、《《アイツ》》の彼女なんだろ?」
——アイツって誰のこと?
話しかけてきた人は、ちょっと大人っぽい、高校生か、もしかしたら大学生くらいの男の人だった。
「やめてください、離して!」
私は睨みつけたけど、彼らはむしろ面白がっていて。
「さすが佐々木の女じゃん。度胸あるわー。逆に壊し甲斐がありそうで楽しめるかな」
——佐々木って、康介のこと?
私は口にガムテープを貼られて、公園の公衆トイレの中に連れ込まれた。