あの日、桜のキミに恋をした
交差した道
Side 康介
俺の仕事は定時が17:15。
17:30に出られればラッキーで、それでも平均して18:00には署を出れることが多い。
俺が住んでいる単身寮は歩いて通える距離のため、通勤は徒歩だ。
朝は登校中の小学生の集団、帰りはランドセル姿がちらほらと中学生のグループをよく見かける。
ある日の18:00過ぎ。
通り道の公園に、ブランコに乗っているランドセルの少年がいた。
弱々しい街灯はあるものの、陽が沈んだせいで公園内はかなり薄暗い。
早めに家に帰れよ〜と心の中で話しかけながら公園の前を通過しようとすると、男が1人公園に入って行くのが見えた。
その少年に話しかけている。
身なりが見窄らしいせいか、後ろ姿は老けて見える。
なんとなく俺は足を止めて、2人の様子を伺った。
手を引こうとする男に対して、少年はしきりに首を横に振って駄々をこねている。
男がその少年の父親か、あるいは祖父の可能性だってあったが、俺は迷わず2人の間に割り込んでいた。
「この人、君の知り合い?」
男の手を掴んだまま少年に尋ねると、彼は下を向いて首を強く横に振った。
顔は良く見えなかったけど、身長的に小学校低学年くらいだろうか。
「すいません、一緒に警察までご同行願えますか?」
「いきなりなんなんだよ!俺は話しかけてただけだろ!?挨拶もしちゃいけねーってのか!」
「話しかけてただけかどうかは警察に判断してもらいましょう。少なくとも俺には、抵抗するこの子を無理やりどこかへ連れて行こうとしていたように見えたので」
逃げようとする男を抑え込み俺はすぐに通報した。
駆けつけた警察に事情を話し、俺たちは署まで行くことになった。
「もしかしたらお母さんの仕事終わってるかも……」
俺に話しかけてきた少年の顔を見て驚いた。
なんとなく、アルバムで見たことがある幼い頃の自分が今目の前に立っているかと思った。
そして俺はこの間の一哉の言葉を思い出した。
〝子どもの頃の康介にそっくりだった〟
自分の名前と親の連絡先について質問された少年は、スラスラと答える。
そして俺は、自分の直感が正しかったことを知った。
俺の仕事は定時が17:15。
17:30に出られればラッキーで、それでも平均して18:00には署を出れることが多い。
俺が住んでいる単身寮は歩いて通える距離のため、通勤は徒歩だ。
朝は登校中の小学生の集団、帰りはランドセル姿がちらほらと中学生のグループをよく見かける。
ある日の18:00過ぎ。
通り道の公園に、ブランコに乗っているランドセルの少年がいた。
弱々しい街灯はあるものの、陽が沈んだせいで公園内はかなり薄暗い。
早めに家に帰れよ〜と心の中で話しかけながら公園の前を通過しようとすると、男が1人公園に入って行くのが見えた。
その少年に話しかけている。
身なりが見窄らしいせいか、後ろ姿は老けて見える。
なんとなく俺は足を止めて、2人の様子を伺った。
手を引こうとする男に対して、少年はしきりに首を横に振って駄々をこねている。
男がその少年の父親か、あるいは祖父の可能性だってあったが、俺は迷わず2人の間に割り込んでいた。
「この人、君の知り合い?」
男の手を掴んだまま少年に尋ねると、彼は下を向いて首を強く横に振った。
顔は良く見えなかったけど、身長的に小学校低学年くらいだろうか。
「すいません、一緒に警察までご同行願えますか?」
「いきなりなんなんだよ!俺は話しかけてただけだろ!?挨拶もしちゃいけねーってのか!」
「話しかけてただけかどうかは警察に判断してもらいましょう。少なくとも俺には、抵抗するこの子を無理やりどこかへ連れて行こうとしていたように見えたので」
逃げようとする男を抑え込み俺はすぐに通報した。
駆けつけた警察に事情を話し、俺たちは署まで行くことになった。
「もしかしたらお母さんの仕事終わってるかも……」
俺に話しかけてきた少年の顔を見て驚いた。
なんとなく、アルバムで見たことがある幼い頃の自分が今目の前に立っているかと思った。
そして俺はこの間の一哉の言葉を思い出した。
〝子どもの頃の康介にそっくりだった〟
自分の名前と親の連絡先について質問された少年は、スラスラと答える。
そして俺は、自分の直感が正しかったことを知った。