あの日、桜のキミに恋をした
それにしても、まさか彼と美月がそういう関係だったなんて。


でも思い返すと、高校生の頃「もしかして美月は康介のことが好きなのかも」と思う瞬間は何度かあった気がする。


美月はあの頃からずっと康介のことを想っていたのかもしれない。


もしそうなら、彼女はどんな気持ちで私と仲良くしてくれてたんだろう。


知らなかったとはいえ、心が痛んだ。


でも、知らなかったというよりは、気づかないフリをしていたという方が正しいかもしれない。


だとしたら、私は案外ズルい女だったんだ。


そして先日、彼女がいるかも確認せずに康介を安易に家に上げてしまったことも反省だ。


「ごめんね、こんな話して……」


「ううん。むしろちゃんと聞けてよかった。お幸せにね!」


私は精一杯の笑顔を向けた。


こう言ってしまった以上、もう中途半端にはできない。


ご近所だからこれからも会ってしまうことはあるだろうし、何より春斗が彼に懐いてしまっているけれど、ここはけじめをつけなければ。


大丈夫。


突き放すのには、慣れている……。
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