あの日、桜のキミに恋をした
買い物を終えて家に向かって歩いていると、「あ!」と春斗が私と繋いでいた手を離して走り出した。
「ちょっと!」
春斗が向かった先には、スーツを着た康介がいた。平日のこの時間だから、仕事帰りなのかもしれない。
私はさっきの春斗の話を考えながら、複雑な気持ちで2人の元へ行った。
「そこの公園でこうすけくんと遊びたい!」
「だーめ!すぐご飯の時間だから」
「ヤダ!こうすけくんと遊びたい!」
すっかり舞い上がって珍しく駄々をこねる春斗に私は若干イライラしていた。
もう無理矢理連れ帰ろうと私が手を引っ張ると、春斗も全力で抵抗してくる。
これでは埒が明かない。
そんな私たちを見ていられなかったのか、康介が助け舟を出した。
「じゃあ10分だけ、ダメか……?」
「……分かった。本当に10分だけだからね?」
私はそう春斗に言い聞かせて渋々OKを出した。別にご飯の時間なんてただの言い訳。
私と春斗と康介、私たちはもう関わるべきじゃないから立ち去りたかったのに……。
目の前で2人が遊んでいる様子を見たら、もうそんなことは考えられなくて。
ただただ涙が出そうになった。
だってこれは、妊娠したと分かったあの時から、私がずっと夢に見た光景だったから。
でも私には先輩がいて、彼には美月がいる。
この絡まり合った糸は、もう元通りには解せない。
ピッタリ10分経った後、康介は申し訳なさそうに「ごめんな」と言った。
本当は何もかも謝るのは私の方なのに。
それでも私はハッキリと伝えなければならなかった。
「潤さんが気にするから。もうこういうのはやめてほしい……」
「潤さん……?あぁ……」
彼はばつが悪そうに言った。
そんな顔するなら言わせないでよ……。
春斗がずっと求めている〝お父さん〟は今目の前にいるのに、このまま2人を引き離すことは本当に正しい選択なのだろうか?
もう分からない。
何が正しくて、どうするべきで、そして自分はどうしたいのか——。
「ちょっと!」
春斗が向かった先には、スーツを着た康介がいた。平日のこの時間だから、仕事帰りなのかもしれない。
私はさっきの春斗の話を考えながら、複雑な気持ちで2人の元へ行った。
「そこの公園でこうすけくんと遊びたい!」
「だーめ!すぐご飯の時間だから」
「ヤダ!こうすけくんと遊びたい!」
すっかり舞い上がって珍しく駄々をこねる春斗に私は若干イライラしていた。
もう無理矢理連れ帰ろうと私が手を引っ張ると、春斗も全力で抵抗してくる。
これでは埒が明かない。
そんな私たちを見ていられなかったのか、康介が助け舟を出した。
「じゃあ10分だけ、ダメか……?」
「……分かった。本当に10分だけだからね?」
私はそう春斗に言い聞かせて渋々OKを出した。別にご飯の時間なんてただの言い訳。
私と春斗と康介、私たちはもう関わるべきじゃないから立ち去りたかったのに……。
目の前で2人が遊んでいる様子を見たら、もうそんなことは考えられなくて。
ただただ涙が出そうになった。
だってこれは、妊娠したと分かったあの時から、私がずっと夢に見た光景だったから。
でも私には先輩がいて、彼には美月がいる。
この絡まり合った糸は、もう元通りには解せない。
ピッタリ10分経った後、康介は申し訳なさそうに「ごめんな」と言った。
本当は何もかも謝るのは私の方なのに。
それでも私はハッキリと伝えなければならなかった。
「潤さんが気にするから。もうこういうのはやめてほしい……」
「潤さん……?あぁ……」
彼はばつが悪そうに言った。
そんな顔するなら言わせないでよ……。
春斗がずっと求めている〝お父さん〟は今目の前にいるのに、このまま2人を引き離すことは本当に正しい選択なのだろうか?
もう分からない。
何が正しくて、どうするべきで、そして自分はどうしたいのか——。