あの日、桜のキミに恋をした
Side 由奈


康介に出会ってから2度目の春を迎え、私たちはついに高校生になった。


——ちょっと短すぎかな?


全身鏡の前に立ってスカートを2回ほど折り曲げてみたり。


中学の激ダサ制服から一転、動くとヒラヒラ揺れるスカートがすごく可愛くて気に入ってる。


髪はハーフアップにまとめて、毛先はアイロンで軽く巻く。


一応化粧はダメとなっているから、軽くまつ毛をビューラーで上げて、ほんのり赤い色付きリップを付ける。


「よし!」


こんなに気合が入っているのは、ただ高校生になったからというわけではない。
 

「ごめんお待たせ!」


玄関を開けると、康介が壁に背を預けてスマホを見ていた。
 

「おはよ、由奈」


「康介おはよ!」


私と康介は同じ高校に通うことになったのだ。


だから、こうして毎日一緒に登下校している。


ちなみに、親友の美月も同じ学校。


別にこれは示し合わせたわけではなくて、本当に偶然の偶然だった。


私の第一志望は別の学校だったから、もしそこに受かっていたら康介と同じ学校にはなっていない。


落ちた時は悔しかったけど、落ちたおかげでこうして3年間康介と一緒に過ごせることになったんだから、終わりよければ全てよしだ。


「やっぱり康介の短髪新鮮!」


「マジ?やっぱ似合わないよな〜」


「え!似合ってる似合ってる!お母さんもカッコいいって言ってたじゃん!」


康介は高校入学前に髪をバッサリ切って短髪にした。


肩に付くくらいだった髪型も似合っていたけれど、短くなった今は少女漫画に出てきそうな爽やかイケメンという感じで、カッコよさがさらに増した。


私のお母さんも大絶賛だった。


ただ、喜んでばかりもいられなかった。
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