あの日、桜のキミに恋をした
「最近康介あの子と仲良いよね……」


「あの子って広瀬(ひろせ)さんのこと?まぁリレーの集まりで一緒になるからなー」


今度の体育祭で、康介は学年対抗の男子リレー選手にうちのクラスの代表として選ばれた。


〝広瀬さん〟というのは隣のクラスの子で、彼女も女子のリレー選手に選ばれている。


スポーツ万能のクールビューティーな子だ。


学年のリレー担当の先生がすごく熱血で、選ばれた人たちはしょっちゅう朝練や放課後練をやっている。


そりゃあ、練習中に話すこともあるだろうし、仲良くなるのは分かる。


私も別に「他の子と話さないで!」なんてめんどくさい彼女にはなりたくない。


でも、私と康介が話しているのにすれ違い際に「佐々木くんヤッホー」なんて手を振ってきたり、「練習行こー!」と康介を迎えに教室に入ってくるのは流石に「ん?」と思ってしまう。


これは私の心が狭すぎるのかな。


だって、隣のクラスにも男女何人かリレーの選手がいるのに、わざわざ康介に声をかけてくるんだから、広瀬さんは絶対に康介のことを狙っているに違いなかった。
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