あの日、桜のキミに恋をした

ハジメテ

Side 康介


それは1学期の期末試験を無事に終えた、夏休み前最後の登校日のことだった。


夏休みを目前に浮かれきったクラスはとても賑やかで、それぞれが夏休みの予定なんかを話して各所で盛り上がっている。


「なぁ、康介ってぶっちゃけ阿部(カノジョ)とどれくらいの頻度でヤッてんの?」


俺は飲んでいたジュースを誤嚥してゲホゲホとむせこんだ。


「よく聞いた沢村!俺もそれ気になってたんだよ!」


「ていうか高校生ってどこでヤるもんなの?家?それともカラオケとか?ラブホは入れねーだろ?」


「うわマジかよ!カラオケはウケんだけど」


——カラオケはそういう場所じゃねーっつーの!


もはや俺のことなどお構いなしで勝手に盛り上がっている2人に心の中でツッコミを入れた。


男子高校生の会話なんて所詮こんなもんだ。


俺はチラッと由奈の方を見る。


由奈も友達に囲まれて何やら楽しそうに話している。


「ま、まぁ家が多い……かな?」


「やっぱそうだよなぁ〜」


「親がいぬ間に彼女連れ込んでヤりたい放題かよ!」


「クッソー!羨ましいなぁ」


ついノリで答えてしまったが、そんなの俺が知りたかった。


だって俺は、由奈とまだ一度もそういうことをしたことがない。


もちろん自分としてはいつでも、今すぐにでもと思っている。


でも、がっつきすぎて彼女に引かれたらどうしようとか、そういうことを考えるとなかなか行動に移せず、時間だけが過ぎてしまった。
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