あの日、桜のキミに恋をした
「やった、橘さんからのやつゲット!」


美月のプレゼントは、〝どこでも寝られる〟と話題になっているネックピロー。


幸運にも彼女からのプレゼントをゲットした沢村くんは大きくガッツポーズしながら「これで学校でも安眠できるわ〜」と言ってみんなから「寝るな!」と突っ込まれていた。


「何これ可愛い!私もこれで安眠できそう!」


美月が受け取った康介からのプレゼントは、動物の形をした抱き枕でクッションにもなる優れもの。


確かに、ちょうど学校の机に乗るサイズだからそのまま枕にして眠れそうだ。


美月もすごく嬉しそうだった。


「っしゃあ!これでバイクの時も寒くねぇ!サンキュー由奈!」


康介に渡った私のプレゼントは、充電して繰り返し使える電気カイロ。


それもすごくコンパクトなものだ。


実は康介はこの冬休みに、バイクの免許を取るため教習所に通っている。


いつも寒さに凍えながら教習を受けていると聞いていたから、あったかくなれるグッズを選んだ。


もちろん彼以外の人に回っていた可能性もあったけれど、なんとなく康介に当たるんじゃないかと思っていた。


早速充電し始めた康介を私と沢村くんが微笑ましく見守る中、さっきまで笑顔だった美月の顔が少し曇ったような気がした……。


ちなみに私が沢村くんから貰ったのは、私が大好きなカフェのステンレスタンブラーと、お店で使えるギフトカード。


この容器にドリンクを入れてもらうと少し割引になるという優れものなのだ。


「やったー!沢村くんありがとう!美月、今度の放課後一緒に行こうね!」 


「えー!俺は!?」


「由奈からのご指名なんで、例え佐々木くんでもここは譲れませーん!」


美月と康介は私を取り合って、沢村くんはそれを宥めようとして2人から声を揃えて「うるさい!」と怒られるというカオスな状況が可笑しくて、久しぶりにお腹が痛くなるほど笑い合った。


美月もいつも通りの彼女に戻っていたし、やはりさっきの様子は私の気のせいだったのかもしれない。
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