あの日、桜のキミに恋をした

バレンタインデー

Side 康介


「康介〜呼ばれてるぞ〜!」


「オッケー今行く……!」


年が明け3学期が始まってから早くも1月が終わろうとしていた。


そんな中、ここ最近こうして休み時間に俺を訪ねてくる同級生や先輩女子が増えた。


大抵聞かれるのが「康介くん甘いもの食べれる?」という質問。


一体そんなこと聞いてどうするのか疑問に思っていた俺に沢村が教えてくれた。


もうすぐバレンタインだと。


それからはちゃんと「もしバレンタインなら受け取れないから」と自分から断りを入れるようにしたけど、呼び出される度に由奈から向けられる冷ややかな視線が辛い。


「俺ちゃんと断ってるから!当日も受け取らないし!」


帰りながら毎日必死に説明しているからか、由奈には「はいはい」と聞き流されるようになってしまった。


去年は受験で由奈と会っていなかったし、今年が実質ちゃんと彼女ができてから迎える初めてのバレンタインだ。


由奈からのチョコが欲しいに決まってる。


——俺バレンタイン貰えるよな?大丈夫だよな?


俺は当日までそんな不安を抱えながら過ごしていた。
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