あの日、桜のキミに恋をした
「康介〜また呼ばれてんぞ〜」
バレンタイン当日の休み時間。
康介が呼ばれたのが聞こえて扉の方を見ると、そこには先輩女子が2人。
小さな袋を持って立っていた。
康介に渡すつもりなのは一目瞭然だ。
彼女たちの方に向かった康介は何か言葉を交わした後、一緒に階段の方へ消えて行く。
私の席からじゃ何も見えないし何も聞こえない。
別に浮気をしているわけじゃないんだし、彼女としてどんと構えていたいけど、それでも気になってしまうのが乙女心なのだ。
けれど教室に戻ってきた康介は手ぶらだった。
確かに「他の子からは受け取らない」とは言っていたけど、その場の雰囲気もあるだろうから受け取るのは仕方ないと思っていたし、そこは何も言うつもりはなかったのに。
「さっきの人たち、バレンタインだったんでしょ?貰わなかったの?」
彼が私の席の近くを通る時に思わず聞いてしまった。
「だって、俺、彼女以外からは貰わないって約束したからさ!」
目の前にいる私こそ、その彼女。
康介はわざとそう言ってきた。
「早く彼女のやつ食いてぇ〜。俺貰えるよね?大丈夫かな?阿部さんなんか知ってる?」
貰えると分かっているくせに、これも絶対わざとだった。
「……作ったやつ家にあるから、放課後家に来てって言ってたよ……」
私も彼に合わせて、あえて他人事として伝えた。
「りょーかい!サンキューな」
彼は私の頭にポンと手を置いて嬉しそうに席に戻って行った。
バレンタイン当日の休み時間。
康介が呼ばれたのが聞こえて扉の方を見ると、そこには先輩女子が2人。
小さな袋を持って立っていた。
康介に渡すつもりなのは一目瞭然だ。
彼女たちの方に向かった康介は何か言葉を交わした後、一緒に階段の方へ消えて行く。
私の席からじゃ何も見えないし何も聞こえない。
別に浮気をしているわけじゃないんだし、彼女としてどんと構えていたいけど、それでも気になってしまうのが乙女心なのだ。
けれど教室に戻ってきた康介は手ぶらだった。
確かに「他の子からは受け取らない」とは言っていたけど、その場の雰囲気もあるだろうから受け取るのは仕方ないと思っていたし、そこは何も言うつもりはなかったのに。
「さっきの人たち、バレンタインだったんでしょ?貰わなかったの?」
彼が私の席の近くを通る時に思わず聞いてしまった。
「だって、俺、彼女以外からは貰わないって約束したからさ!」
目の前にいる私こそ、その彼女。
康介はわざとそう言ってきた。
「早く彼女のやつ食いてぇ〜。俺貰えるよね?大丈夫かな?阿部さんなんか知ってる?」
貰えると分かっているくせに、これも絶対わざとだった。
「……作ったやつ家にあるから、放課後家に来てって言ってたよ……」
私も彼に合わせて、あえて他人事として伝えた。
「りょーかい!サンキューな」
彼は私の頭にポンと手を置いて嬉しそうに席に戻って行った。