あの日、桜のキミに恋をした
Side 由奈  


心配かけたくなくて、康介には大丈夫だと言ったけど、正直最近の私はあまり大丈夫ではなかった。


2年生になって、学校は大学受験や進路の話ばかり。


確かに大事なことかもしれないけれど、そう言われれば言われるほどやる気がなくなっていく。


「そんな先のことなんて分かんないよ!」


私は枕に顔を埋めてベッドの上で足をバタバタさせた。


最近自分でも驚くくらいやる気が起きなくてボーっとしてしまうことが増えた。


あまりご飯を食べれていないせいか、体も怠くて重い。


何か食べなきゃと思っても、気持ち悪くて体が受け付けないのだからどうしようもなかった。


そして恐ろしいことに、寝ようと思っていなくてもいつの間にか眠ってしまっているのだ。


家ならまだいいけれど、授業中のうたた寝が増えてきてそれには本当に困っている。


私は気になっている症状を全て検索してみることにした。


検索エンジンに〝眠い 吐き気〟まで入れたところでいくつか予測が出てくる。


一番上には〝怠い〟と入っていて、まさに私の症状だった。


そしてその下に出てきたのが〝妊娠〟


確かに、ドラマとかで女の人が眠気や吐き気を訴えている時は大抵その後妊娠が発覚している気がする。


この時は「妊娠したらこんな感じの症状なんだ」くらいにしか思わなくて、スルーした。


しかしこの後、ゆっくりと湯船に浸かりながら、私はあることに気づいてしまった。


——そういえば、生理全然きてないな……?


温かいお湯に浸かっているはずなのに、私は全身から血の気が引いて体が冷たくなっていくのを感じた。
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