あの日、桜のキミに恋をした
「アイツ、三中の佐々木じゃね?」
「隣にいんのってもしかして彼女?」
「アイツと付き合うってスゲーな」


俺にまつわる噂は隣の中学の由奈の耳にも届いていたことは彼女から聞いた。


どこ中の生徒にいきなり殴りかかったとか、何股もしているとか、万引きをしただとか。


噂がどんどん膨れ上がって、あることないこと流されていたけど、全てが全くの嘘というわけでもないことは彼女にも正直に話した。


でもこれからは由奈を悲しませることはしないと約束して、彼女も俺を信じてくれた。


だから、自分はどう言われても良かったけど、自分のせいで由奈が変な見られ方するのは嫌だった。


「……悪ィ、別んトコいこ」


俺は由奈に耳打ちしてゲーセンを出ようとしたけど、由奈は頑なに動かない。


「何で?もし私のこと考えてくれてるなら、それは違うよ!私が康介と一緒にいたいと思ってるんだもん。他の人が何と言おうと関係ないよ?」


彼女の方が俺よりよっぽど肝が据わっているもんだから、俺は拍子抜けして腹を抱えて笑った。


ますます由奈が好きになった。


「それより私、彼氏ができたらプリクラ撮りたかったんだ〜!行こっ!」


由奈は俺の手を引き、ゲーセンの奥へと進んで行った。
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