あの日、桜のキミに恋をした

ピリオド

Side 康介


由奈に一体何があるのか、何があったのかは分からないけど、由奈が話したいと思えるまで俺はひたすら待った。
 

押してダメなら引いてみよう作戦だ。


そして今日、ようやくその時が突然訪れた。


「最近色々とごめんね……ゆっくり話がしたいんだけど、良かったら屋上行かない?」


こうして由奈の方から声をかけてくれた。


もちろん俺は頷いた。


屋上の扉を開けると、今にも雨が降り出しそうなあいにくの曇天が広がっていた。


あまり長居はできなさそうだ。


由奈はぎゅっと口をつぐんだまま呼吸を整えている。


これはかなり重めの内容なのかもしれない。


「ゆっくりでいいよ。俺ちゃんと待てるから。もし無理だったらまた今度でもいいし」


だけど由奈は大きく首を横に振り、覚悟を決めた目をした。


よっぽど早く話してしまいたいらしい。



「……あのね。私、康介と、もう別れたい」
< 93 / 154 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop