あの日、桜のキミに恋をした
恋は、始まる時はそれなりの緊張や苦労、努力や期待があって時間がかかるのに、終わる時はとても呆気ない。


一緒に過ごした時間の長さとか、思いの大きさや密度はそこには全く関係ないことを思い知った。


終わってしまう時は終わるのだ。


俺は完全に頭に血が上って、とても冷静な判断ができる状態ではなかった。


家に帰ってからも、今回の由奈の裏切り行為にどうにも怒りが収まらなかった。


しかし一晩中考えてみると、やっぱり腑に落ちないことが多すぎた。


一方的に「別れたい」「他に好きな人がいる」と言われて、はいそうですかと納得なんてできるわけがない。


あの時はつい言われるがままに受け入れてしまったが、俺たちはこんな形で終わるほど薄っぺらい関係ではなかったはずだ。


翌日の放課後、俺はもう一度話がしたいと由奈に伝えることにした。
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