冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「宗くん、副社長になってからずっと働き詰めでしょう? 旦那さまと奥さまがいつも心配してた。大奥さまは、大企業のトップに立つ人間は会社の誰よりも働くべきっておっしゃっていて、宗くんはその言葉を守っているんだろうけどあのままじゃいつか倒れちゃうって」
ふたりにとって宗一郎は、会社の後継ぎという前に大事なひとり息子なのだ。
宗一郎が頷いた。
「そうだな。ホテル九条を継ぐために俺はばあさんから教育を受けてきたわけだが、実際に副社長へ昇格した時には、ばあさんはすでに亡くなっていたから、教わったことを頼りにするしかなかったからな」
気楽な調子で彼は言うが、それがどれほど孤独で険しい道のりだったかと日奈子は思いを馳せる。
巨大な組織は九条家の人間だけで成り立っているわけではない。目に見える結果が出るまでは、社内での彼に対する風あたりは厳しかった。
「だけど、まぁ三年やってきて、すべての教えに従う必要はないのかもしれないと思いつつあるよ。うちの会社には優秀で、俺と同じくらい会社を大切に思っている社員もいる。彼らの言葉に耳を傾けつつ、一緒に歩むべきなんだろうと今は思う。……俺のスケジュールの件はある意味それの第一歩だな。決して、日奈子とデートをしたいからではない」
最後は少し戯けて言って、宗一郎はノンアルコールビールを飲み干した。
その姿に、日奈子は思わず問いかけた。
ふたりにとって宗一郎は、会社の後継ぎという前に大事なひとり息子なのだ。
宗一郎が頷いた。
「そうだな。ホテル九条を継ぐために俺はばあさんから教育を受けてきたわけだが、実際に副社長へ昇格した時には、ばあさんはすでに亡くなっていたから、教わったことを頼りにするしかなかったからな」
気楽な調子で彼は言うが、それがどれほど孤独で険しい道のりだったかと日奈子は思いを馳せる。
巨大な組織は九条家の人間だけで成り立っているわけではない。目に見える結果が出るまでは、社内での彼に対する風あたりは厳しかった。
「だけど、まぁ三年やってきて、すべての教えに従う必要はないのかもしれないと思いつつあるよ。うちの会社には優秀で、俺と同じくらい会社を大切に思っている社員もいる。彼らの言葉に耳を傾けつつ、一緒に歩むべきなんだろうと今は思う。……俺のスケジュールの件はある意味それの第一歩だな。決して、日奈子とデートをしたいからではない」
最後は少し戯けて言って、宗一郎はノンアルコールビールを飲み干した。
その姿に、日奈子は思わず問いかけた。