冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「今日はご馳走さま。お腹いっぱいになるまで食べちゃった」
 
天ぷら屋での食事を終えて、日奈子と宗一郎は車に乗り、日奈子のマンションへ帰ってきた。

いつもの場所に車を停めた宗一郎に向かって日奈子は言った。

「すごく高級なお店だったからご馳走してもらうのが申し訳ない感じだったけど」

「先週の手料理のお礼だ」
 
その言葉に、日奈子は思わず噴き出した。

「もう、冗談言わないで。あんなナポリタン、代わりにならないよ」
 
宗一郎が目を細めた。

「今日の店も美味しいけど、俺にとっては日奈子のナポリタンが世界で一番美味しいよ」

「そんなこと言ったら、大将にがっかりされちゃうよ」
 
くすくす笑いながら日奈子は言う。
 
今日の店では、エビや鮑などの新鮮な食材に加えて、チーズや生ハムといった洋風の食材を使った変わり種の天ぷらも豊富だった。

宗一郎と一緒でなければ、日奈子は口にできないようなものばかりだったというのに。

「本心だよ。とにかく今夜はお腹いっぱい食べる日奈子を見られたから、俺は満足だ。大将に感謝だな」
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