冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
* * *
青いカーテンから日奈子が顔を出したのを確認して、宗一郎は車を発進させる。だがすぐに途中の適当なコインパーキングを見つけて車を停めた。
エンジンを切りハンドルを抱えて長いため息をついた。一旦気持ちを落ち着けなくては運転に支障が出そうだった。
目を閉じると、さっきの日奈子のふっくらとした頬の感触と、自分の名を呼ぶ甘やかな声音が鮮やかに蘇る。
唐突な彼女の行動に、まるで愛を囁かれているような気分になって、危うく自分を抑えれらなくなるところだった。
本当なら部屋まで送りたかったが、全神経を集中させて、手を出すのを思い留まるので精一杯だった。
何度も深い呼吸をし、少し気持ちを落ち着けてから宗一郎は身体を起こす。ヘッドレストに頭を預けて考えた。
さっきの日奈子の行動は宗一郎にとっては危険すぎる。
だが、彼女の口から前向きな言葉が出たことに、大きく安堵していた。
彼女は確実に新しい一歩を踏み出した。
長い間担ってきた兄のような存在としては、それを穏やかに見守りたいという気持ちもある。
彼女に笑顔が戻るならそれでいい。そのために生涯をかける、そう誓っていたのだから。
……だが。
もうそれだけでは、満足できないという自分が確実に存在する。
日奈子の気持ちが追いつくまでは手を出さないという約束をしたことを後悔しているくらいだった。
さっきの日奈子の行動は、恋愛経験のない彼女にとっては、深い意味などないものに違いない。
幼い頃から一緒にいる兄のような存在に、ただ感謝の想いを表しただけなのだろう。
——だが、もしまた同じようなことを彼女がしたとしたら。
「我慢できる自信はないな」
呟いて、宗一郎は目を閉じた。
青いカーテンから日奈子が顔を出したのを確認して、宗一郎は車を発進させる。だがすぐに途中の適当なコインパーキングを見つけて車を停めた。
エンジンを切りハンドルを抱えて長いため息をついた。一旦気持ちを落ち着けなくては運転に支障が出そうだった。
目を閉じると、さっきの日奈子のふっくらとした頬の感触と、自分の名を呼ぶ甘やかな声音が鮮やかに蘇る。
唐突な彼女の行動に、まるで愛を囁かれているような気分になって、危うく自分を抑えれらなくなるところだった。
本当なら部屋まで送りたかったが、全神経を集中させて、手を出すのを思い留まるので精一杯だった。
何度も深い呼吸をし、少し気持ちを落ち着けてから宗一郎は身体を起こす。ヘッドレストに頭を預けて考えた。
さっきの日奈子の行動は宗一郎にとっては危険すぎる。
だが、彼女の口から前向きな言葉が出たことに、大きく安堵していた。
彼女は確実に新しい一歩を踏み出した。
長い間担ってきた兄のような存在としては、それを穏やかに見守りたいという気持ちもある。
彼女に笑顔が戻るならそれでいい。そのために生涯をかける、そう誓っていたのだから。
……だが。
もうそれだけでは、満足できないという自分が確実に存在する。
日奈子の気持ちが追いつくまでは手を出さないという約束をしたことを後悔しているくらいだった。
さっきの日奈子の行動は、恋愛経験のない彼女にとっては、深い意味などないものに違いない。
幼い頃から一緒にいる兄のような存在に、ただ感謝の想いを表しただけなのだろう。
——だが、もしまた同じようなことを彼女がしたとしたら。
「我慢できる自信はないな」
呟いて、宗一郎は目を閉じた。