冷徹ホテル王の最上愛 ～天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました～

この一週間は、ほとんと美鈴のコンシェルジュとしての勤務ばかりだ。スイートルームに出入りするスタッフの人数を限定しているからだ。

「じゃ、私先に行くね」
　
莉子に告げてロッカールームを後にした。
　
コンシェルジュのカウンターに行くと夜勤スタッフと引き継ぎをしてから交代をする。美鈴は部屋にいるようだった。

もっともこの一週間マスコミに追い回されている彼女はあまり外出をしていない。

いつもはつらつとしている彼女も少し顔色がさえなかった。
　
その彼女に呼ばれたのは勤務を開始してすぐのことだった。部屋には彼女のマネージャーもいた。

「今日の午後、ホテルを立ちます。チェックアウトの手続きをお願いします」
　
随分急だと思ったものの日奈子は頷いた。
「かしこまりました」

「誰にも見られないようにホテルを出たいのですが」

「それについては、私どもの方からもいくつか方法を考えてありますので、支配人からお話しさせていただきます。呼んでまいりましょうか？」
　
日奈子が言うと、マネージャーがホッとしたように表情を緩めた。

「いえ、こちらから伺います。美鈴はここでまだ準備がありますので」

「では、早速」