冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
午後七時、ホテル九条の従業員用出入口から外に出ると外は随分と寒かった。

都会の夜空を見上げると、澄んだ空気の中、いくつかの星が輝いている。

その間を、赤い光が点滅しながら進んで行く。
 
その光を見つめながら、美鈴はなにごともなく出国できただろうかと、日奈子は思いを馳せた。

日奈子が出勤した時は十数人ほどいた報道陣や記者は、今はひとりも見あたらない。美鈴は昼過ぎにチェックアウトして秘密裏にホテルを出た。

それから二時間ほどした後、空港にいるという情報が流れたから、皆そっちの方へ移動したのだ。
 
おそらく空港うんぬんの情報は彼女の側から流れたものだ。

なにごともなく出国することだけを考えたらそんなことをする必要はなかったのだが、わざとそうしたのはホテルのことを考えてくれたのだろう。
 
何時のフライトかは知らないが、無事に機上の人になってくれているといいと願わずにいられなかった。
 
彼女に出会えてよかったと心から思う。
 
強さの中のにある儚い部分は、どこか宗一郎と重なる部分があった。
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