冷徹ホテル王の最上愛 ～天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました～
「宗くん……！」
　
会いたくてたまらないと思ったところに本人が現れたことで感情が爆発してしまう。

背中に腕を回して力を込めると、いつもの日奈子らしくない行動に、宗一郎が戸惑ったような声を出した。

「日奈子……？　どうしたんだ？　さっきのやつになにかされたのか？　なにか言われたとか……」

「違う、そうじゃないの」
　
広い胸に顔を埋めたまま日奈子は頭を振った。

「ただ、宗くん、会いたかっただけ……！　会えなくて寂しかったの」
　
いつもそばにいてあたりまえだった彼に、会えないという状況に、自分はこれほどまでに参っていたのだと今実感する。

このまますぐ彼の香りに包まれて、もう一瞬も離れなくなかった。

「宗くん、宗くん……！」
　
溢れる言葉と熱い涙を、止めることができなかった。

「日奈子」
　
名を呼ばれて、頬が大きな手に包まれる。促されるままに顔を上げると、そこにあるのは、いつもの優しい眼差し。

その彼の瞳が一瞬揺れて、強く抱きしめられた。

「ひとりにして悪かった。これからはまたいつでも会いに来る。ずっとそばにいるから」
　
力強い言葉と久しぶりの彼の香りに、日奈子は心底安堵して、ゆっくりと目を閉じた。
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