冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
「うん。だからね、お母さんがいなくなってからずっと私、このノートを頼りにしていたの。ここに書いてあることをちゃんと守っていれば、お母さんがそばにいてくれるような気がして……寂しくてたまらない時もなんとかなったんだ」
日奈子の言葉に、宗一郎が黙って頷いた。
「宗くん、最後のページを開いてくれる?」
日奈子が言うと彼は眉を上げて、言われた通りにする。そしてそこに書いてある言葉に、息を呑んだ。
《絶対に、宗一郎さまを好きになってはいけません。家族のように優しくしていただけたとしても、彼とは立場が違います。大奥さまを裏切るようなことはしないでね》
そのまましばらく沈黙して、すべてを理解したというように静かに口を開いた。
「……なるほど、そういうことか」
「……ごめんなさい」
日奈子が言うと彼は日奈子に視線を移し首を横に振った。
「謝る必要はない、日奈子。万里子さんのこの言葉があったら、日奈子がしたことは当然だ。心の支えにしていた万里子さんの言葉に、背くことはできなかったんだろう?」
そう言って彼は手を伸ばし、日奈子の頬にそっと触れる。優しい声音と、頬の温もりに日奈子の視界がじわりと滲んだ。
頷くと頬を涙が伝う。宗一郎の手がそれを拭った。
「悩んだだろう。つらかったな」
温かい言葉に日奈子の涙は止まらなくなってしまう。
これくらいなんだと思われてもおかしくないのに、彼はどこまでも日奈子の心に寄り添ってくれるのだ。
この人とならば幸せになれるという確信が日奈子の胸に広がった。
日奈子の言葉に、宗一郎が黙って頷いた。
「宗くん、最後のページを開いてくれる?」
日奈子が言うと彼は眉を上げて、言われた通りにする。そしてそこに書いてある言葉に、息を呑んだ。
《絶対に、宗一郎さまを好きになってはいけません。家族のように優しくしていただけたとしても、彼とは立場が違います。大奥さまを裏切るようなことはしないでね》
そのまましばらく沈黙して、すべてを理解したというように静かに口を開いた。
「……なるほど、そういうことか」
「……ごめんなさい」
日奈子が言うと彼は日奈子に視線を移し首を横に振った。
「謝る必要はない、日奈子。万里子さんのこの言葉があったら、日奈子がしたことは当然だ。心の支えにしていた万里子さんの言葉に、背くことはできなかったんだろう?」
そう言って彼は手を伸ばし、日奈子の頬にそっと触れる。優しい声音と、頬の温もりに日奈子の視界がじわりと滲んだ。
頷くと頬を涙が伝う。宗一郎の手がそれを拭った。
「悩んだだろう。つらかったな」
温かい言葉に日奈子の涙は止まらなくなってしまう。
これくらいなんだと思われてもおかしくないのに、彼はどこまでも日奈子の心に寄り添ってくれるのだ。
この人とならば幸せになれるという確信が日奈子の胸に広がった。