冷徹ホテル王の最上愛 ~天涯孤独だったのに一途な恋情で娶られました~
母が亡くなってから、自分はひとりだと思って生きてきた。
これからもひとりで生きていくのだと。でも今はわかる、ずっと自分は彼の愛に包まれていた。
「私が幸せになれればきっとお母さんもわかってくれる。そう思うことにしたの。そう思えるようになったのも宗くんのおかげだよ」
日奈子の言葉に、宗一郎は頷いて頬の涙を素手で拭う。
でもそこで沈黙して日奈子を腕に抱いたまま、傍に置いたままになっているノートを再び手に取った。そして最後のページを開いた。
母の言葉を見つめている。
「宗くん?」
「日奈子の考えには賛成だ。万里子さんがどう思っていたとしても、日奈子が幸せになれば万里子さんは喜んでくれる。それは間違いない。だが……俺には万里子さんは、ただ九条家のことだけを考えてこの言葉を遺したとは思えない」
意外な彼の言葉に、日奈子が首を傾ると、彼はゆっくりとページをめくる。
「このノートには万里子さんからの日奈子への愛が溢れている。日奈子に幸せになってほしいという思いでいっぱいだ。だからこそ、俺はこの最後のページの忠告みたいな言葉に違和感を持った。言葉の方向性が違うというか……」
「言葉の方向性が……?」
これからもひとりで生きていくのだと。でも今はわかる、ずっと自分は彼の愛に包まれていた。
「私が幸せになれればきっとお母さんもわかってくれる。そう思うことにしたの。そう思えるようになったのも宗くんのおかげだよ」
日奈子の言葉に、宗一郎は頷いて頬の涙を素手で拭う。
でもそこで沈黙して日奈子を腕に抱いたまま、傍に置いたままになっているノートを再び手に取った。そして最後のページを開いた。
母の言葉を見つめている。
「宗くん?」
「日奈子の考えには賛成だ。万里子さんがどう思っていたとしても、日奈子が幸せになれば万里子さんは喜んでくれる。それは間違いない。だが……俺には万里子さんは、ただ九条家のことだけを考えてこの言葉を遺したとは思えない」
意外な彼の言葉に、日奈子が首を傾ると、彼はゆっくりとページをめくる。
「このノートには万里子さんからの日奈子への愛が溢れている。日奈子に幸せになってほしいという思いでいっぱいだ。だからこそ、俺はこの最後のページの忠告みたいな言葉に違和感を持った。言葉の方向性が違うというか……」
「言葉の方向性が……?」